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太陽光発電を地域通貨で普及させよう 

◇NPO「エコロカル・ヤス・ドットコム」代表、谷豊さん(49)=野洲町
 太陽光発電を地域通貨で普及させよう。そんな活動に取り組んでいるNPO法人が野洲町にある。活動は名付けて、「エコSUNプロジェクト」。「将来、余剰電力を還元できるようになれば」「地域通貨を里山運動に発展させたい」と話す、NPO法人「エコロカル・ヤス・ドットコム」代表の谷豊さん(49)に、これまでの取り組みや今後の展開を聞いた。 【阿部雄介】

 ――太陽光発電と地域通貨の関係は。
 住民から一口1万円で出資を募って発電施設を購入し、公共施設などに設置します。住民には一口当たり1万1000円分の地域通貨「smile」を渡し、NPOに協力する企業や、体育館などの公共施設などで利用してもらう。昨年、集まった約150万円で第1号の発電施設を野洲文化ホールに設置しました。

 ――なぜ地域通貨の利用を?
 01年5月に全国から70余りの自治体が参加する環境自治体会議が町内で開かれることになった。有志で勉強会を行ってきて、「環境保護とはいえ、現在の経済システムの中に組み込んだモデルを作らないといけない」という結論に達した。ボランティアなどの対価を表すものとして「地域通貨」が注目され始めていたので、そのアイデアを利用することにしました。

 ――問題点などは出ていますか。
 地域通貨を使えるのが今のところ5店しかない。出資といっても「寄付」の意味合いが強く、地域通貨は「寄付」に対するほんの気持ちという感じ。一方、一般的な地域通貨は店側の負担がほとんどないか、あっても5%ほどだが、「smile」では利用された分はすべて店の負担。不況のなか、参加店が少ないのも仕方ないでしょう。
 発電設備が増え、余った電気を売れる位になれば、収益の一部を参加店に還元したいとも考えていますがまだまだです。

 ――プロジェクトの意義を教えて下さい。
 町職員が参加して公共施設でも「smile」が利用できるなど、町が全面的に協力してくれている。直接補助金を受けるのではなく、私たちの自主性も確保されている。人口3万7000人の野洲町は京都や大阪のベッドタウンの一方で、里山や農村も残っている日本の縮図のような町。これからの環境問題に取り組むための「実験」には最適な場所ではないでしょうか。

 ――今後の展開は。
 「エコロカル・ヤス・ドットコム」では、太陽光発電と同時に里山保全にも取り組んでいる。そちらの活動でも地域通貨を利用できるようにしたい。地域通貨は地域を活性化させるための、住民と行政、企業を結ぶツールです。町内では地産地消を活性化させる動きもあり、それらすべての活動を結びつけていきたいと思っています。

◇提言◇
 自然エネルギーを使って、地域の経済を循環させていくことが大事。経済の仕組みをうまく使って、地域の人が環境にも自然に投資が出来る時代を作り、少なくとも20〜30年前の環境を取り戻したい。

 ◇たに・ゆたか 1954年、野洲町生まれ。金沢工業大卒業後、県内のゼネコンで公共事業などを手がけた。97年に独立して、民間専門の建設会社を設立。同時に町内の経営者らと環境問題を考える勉強会を開き、01年2月に「エコロカル・ヤス・ドットコム」を設立。代表に就任した。(毎日新聞)
by 00mt082 | 2004-09-09 01:16 | 地方自治体
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